Last update : '05/12/11
のっけからものすごい誤字です。
誤字王として名高い 氏ですがさすがにタイトルロゴでやってくれるとは思いませんでした。
えーと、これはグリーンシステム名義で発売されたPC-9801用SLGです。1992年頃に市販パッケージで発売されていたみたいですが、私が購入したものは1995年販売開始のTAKERU版です。
グリーンシステムとはプログラム・CG・シナリオ原案など音楽以外のほとんどの仕事を一人でこなす佐伯氏が主催するソフトハウス。もしかしたら同人サークルのスタジオK2という名前の方が有名かもしれません。ここのゲームをプレイしたことがなくても、MS-DOS互換OS「GR-DOS」といえばお世話になった人は多いことでしょう。
かねてよりその作品のクオリティは市販顔負けと評されていただけに、今回も期待が高まります。
システムは同人作品『バサーカーフロント2』からの流用。 (こちらのシリーズの紹介は機会があれば…)
PC用では比較的珍しい歩兵主体の現代戦SLGです。といっても雰囲気はむしろ大戦略に近いスタイル。戦車が機関銃に、自走砲が迫撃砲に置き換わっただけでプレイの感覚はおなじみのものです。
コマンドは基本的に移動と攻撃だけ、という非常に簡略化されたルールが特徴。占領もなければ補給もなし。他にできることと言えば車両への乗降くらい。移動はすべて攻撃のポジションを取るための手段といえます。
もちろん生産や増援などもないので、お互い使えるのは初期配置ユニットのみ。数で上回る敵勢力に勝つには慎重な用兵が求められます。
ここで初めから順を追ってゲームの流れを説明しましょう。
収録マップは全10面。単独プレイのみなのでどれでも自由に選択できます。
挑戦するマップを選んだら、まずやることは部隊編成。規定の資金の範囲でユニットを「買う」形になります。ここで雇用したユニットが自兵力の全て。後から追加はできないので、よく考えて選ばなければいけません。
これらのユニットはすべて一両の歩兵戦闘車に搭乗した状態で始まります。
戦闘車を上陸地点に配置していよいよ作戦開始。ターンごとにユニットを動かし、マップ上に点在するすべての敵トーチカ (移動力0の敵ユニット) を破壊すればクリアです。
一方自軍の戦闘車が破壊されると他の兵士が生きていてもゲームオーバー。車両だけに耐久力も攻撃力も高いとはいえ、過信しないように。
さて先程も書きましたが、このゲームには生産も補充もありません。
弾薬の方は無制限ですが、兵士は傷ついても回復不可能。もちろんやられてしまえばそれまでです。欠けた穴は二度と埋まりません。
従って戦術の要はアウトレンジ攻撃。部隊はほぼ無反動砲か迫撃砲のみで揃え、敵に近接される前に一斉攻撃で倒してしまうのが基本です。
このゲームでは移動と攻撃を別々に行えるので、「撃ってから逃げる」「逃げてから撃つ」はたまた「移動だけしておいて、先に別のユニットに撃たせてそれから自分が撃つ」といった小技が可能。接近戦ができない長射程ユニットでも、うまく連携すればいろいろな立ち回りができます。
言い換えると敵の懐に飛び込むのはリスクが大きいので、短射程ユニットの出番はほとんどなし。全員歩兵ですから「壁役」と言うほどダメージに耐えられるユニットがいないのです。せいぜい資金に端数が出たときに入れて囮にする程度になるでしょう。
敵AIはあまり賢くありません。遮二無二突っ込んでくるわけではないものの、時折不用意にこちらの射程に入ってきたりします。よってチャンスを逃さずとらえれば各個撃破していけます。
実はタイトル画像を紹介したかっただけなのであまり言うべきことはありません。
いつもやたらスケールの大きいバックストーリーが魅力な氏の作品ですが、残念なことに今回はストーリーなし。
勝利してもメッセージが一つ出るだけです。部隊引き継ぎもできません。これはかなりさみしいです。補充がきかないと言っても中盤を越えたらあとは力押しで間に合ってしまいます。
マップ数も少なめですし、市販作品にしては物足りないと言わざるを得ません。せめて対戦機能でもついていればよかったのですが…。
しかしシステムがシンプルなのでSLG初心者でも手軽に楽しめる点は優れています。『バサーカーフロント2』と違って理不尽な反撃ルールがないぶん作戦の立て方も明快 (一方でユニットの性格の差は少々薄まっていますが) 。
戦闘アニメもなかなか凝っていますし、TAKERU版の価格 (\1200) ならば納得といったところでしょう。
もっともスタジオK2名義のSLGのマップ数は平均4面くらい、同時期に市販 (\7800) で出した『アルファダイン』でも全5面(!)だったりするので、これでもマップは多い方だったりします。
ちなみに佐伯氏は現在グリーンシステムおよびスタジオK2名義での活動は行っていないようで、18禁同人サークル「猫の結社」にほぼ一本化した形となっている模様です。時代の流れでしょうか…